船舶免許2級学科試験のポイント①

学科講習を受講すると教員がポイントを教えてくれますが、最近は学科自習で受験される方も多いので科目別にポイントを記しておきます。また特殊小型は3科目の最初の科目は共通で「交通方法」「運航」の中の共通部分はの印を入れておきます。
2級は遵守事項12問、交通方法14問、運航24問の50問で科目半分以上、合計33問以上正解で合格。特殊小型は遵守事項12問(2級と同じ問題)、交通方法10問、運航18問の40問で科目半分以上、合計26問以上正解で合格です。特に特殊小型は「交通方法」を6問間違えると不合格になるので注意してください。問題はどちらも4択です。
また自動車の交通ルールと違い、なじみのない言葉もありますので注意しましょう。

心得・遵守じゅんしゅ事項 12問

この科目は予備知識が無くとも文章の読解力があれば半分以上は解けます。また後半の「交通方法」や「運航」の知識からも解けます。

  • 問3|漁具等に対する注意:海だけではなく湖や川にも漁業権があることに注意しましょう。軽い気持ちで動植物を採捕さいほすると100万円以下の罰金、ものによっては3千万以下の罰金です。
  • 問4|事故の発生状況:「ボート(見張り不十分)」と「水上オートバイ(操縦方法未熟)」の衝突事故の原因の違い。またボートはベテランの事故が多いが水上オートバイは初心者や無資格者の事故が多い。
  • 問5|船⻑の役割と責任:事故を起こしたときの責任は操縦者ではなく船長であることを理解しましょう。
  • 問6|シーマンシップと海のマナー:A旗(潜水旗)は水の「青」B旗(危険物運搬旗)火の「赤」で覚えましょう。
  • 問7|安全な航海をするための船⻑の⼼得:天気予報は177
  • 問8|事故が起きた時の対応:海上保安庁は118.ただし内陸の湖川は110。
    ヨット、ジェット、モーターボートの保険は任意保険しかありません。
  • 問9|小型船舶操縦者法令に基づく遵守事項:ボートやヨットは港のエリア(港則法)や航路内(海上交通安全法)では船長の指揮監督下でも操縦できません水上オートバイは無資格者はどこでも操縦はできません。また、この遵守事項違反は減点制ですが反則金や罰金はありません
  • 問10|小型船舶の免許制度:それぞれの免許の違い(航行エリアや操縦できる船舶、取得年齢)を整理しておきましょう。特に2級は若年者限定(16歳から取得できるが18歳になるまで5トン未満限定がつくので大きなボートは18歳の誕生日まで操縦できない:技能限定)と湖川こせん小出力限定の2種類の限定があります。また船舶免許の更新は5年ごとです。
  • 問11|⼩型船舶の検査及び登録制度:免許の更新は5年ですが一般的な小型船舶の定期検査は6年です。混同しないように。また、登録法で「変更登録」と「移転登録」の違いを理解しておきましょう。

交通の方法 14問(特殊小型10問)

①海上衝突しょうとつ予防法10問(特殊小型は6問)、②港則法2問、③海上交通安全法1問、④都道府県条例等1問の出題です。
まず法律上の船舶の定義を理解しましょう。

海上衝突予防法

  1. 動力船:エンジンやモーターによって航行する船舶(一般の大型船、モーターボート、水上オートバイ等)
  2. 帆船はんせん:エンジンやモーターを使わずにのみで航行する船舶(小型船ではヨットやウインドサーフィン等)
  3. 漁労ぎょろうに従事している船舶:「漁船」という意味ではなく実際に漁をしている船舶のこと
  4. 操縦性能制限船作業中で他の船舶を避けることができない船舶
  5. 運転不自由船故障等で他の船舶を避けることができない船舶

港則法

  1. 汽艇きてい:港内のモーターボート、ヨット、水上オートバイの汽船きせん、手漕ぎボート、漁船等
  2. 汽艇等以外の船舶:港内の大型船、交通艇、工事作業艇等

速力

次に法律(航行しているエリア)によって速力の定義が違うので混同しないように

  1. 海上衝突予防法衝突を避けることができる速力を安全な速力という
  2. 港則法:港内では他船に危険を及ぼさない速力で航行すること
  3. 海上交通安全法12ノットを超えてはならない航路がある。

※各問の末尾にはカッコ内に法律名が記されています。

  • 問13|⾏き会い船:動力船だけのルール。衝突しそうになったらどちらも
  • 問14|追い越し船:船の種類にかかわらず追い越す船が避ける
  • 問15|横切り船:動力船だけのルール。他船を右に見る船舶が避ける。
  • 問16|避航船ひこうせんと保持船:避航船は相手船の前を横切らない。相手船がわかりやすいように大ききな動作で避ける。保持船は原則的には針路も速力も変えずにそのまま航行。
  • 問17|各種船舶間の航法:前述の船の種類の優先関係。⑤⑥は最優先。④③②①が優先順位。追い越す時にはこの優先関係が適用されないので注意!みなさんよく間違えます。
  • 問18|⾒張り・安全な速⼒・衝突のおそれ:走っていようが泊まっていようが常に見張りをすること。安全な速力とは①視界②交通状態等の周囲の状況③自船の操縦性能や自身の操縦技術④夜間のライトの見え方等を考慮した衝突を避けることができる速力。
  • 問19|狭い⽔道等の航法・視界制限状態における航法:長さ20m未満船右端を走る。中央付近を航行している大型船の通航を妨げない。
  • 問20|灯⽕:のライトが、左がぎがどり)、後ろは白。
  • 問21|形象物:黒玉っこ→かり(錨泊中の船舶)、黒玉たつ→じゆう(運転不自由船)、ひき舟→し形、いろ(曳航船の形象物と灯火)
  • 問22|信号:から1-2-3(に行く短音1回に行く短音2回後進する短音3回操船信号)よけない避航船には「ど・か・ん・か・い!」(急速に短音5回以上/疑問・警告信号)

ここまでが海上衝突予防法(2級は14問、特殊は10問)

  • 問23|港内での⼀般的な航法(港則法):「港内」とは海図に記載されいる範囲。航路内優先(側通航/追い越し禁止)、右小回り左大回り、出港船優先
  • 問24|汽艇等・⽔路の保全・灯⽕・漁労・喫煙(港則法):港内では汽艇等(モータボートや水上オートバイ等)汽艇等以外の船舶(大型船等)を避けなければならない。
  • 問25|海上交通安全法:①東京湾②伊勢いせ湾③瀬戸内海せとないかい。航路は50m以上の船舶が航行する。12ノットを超えてはいけない航路や横断禁止の航路もある。
  • 問26|湖川・特定海域での交通⽅法・都道府県条例:河川法の通航標識

「交通の方法」では特殊小型は都道府県条例、港則法、海上交通安全法の順です。また水上オートバイは夜間航行ができないので「灯火」の問題は出題されません。
2級では2問に分かれて出題されている内容が特殊小型では併せて1問になっているものもあります。

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