特定操縦免許講習

2022年4月の観光船「カズワン」の知床半島西海岸沖の海難事故を受けて、「海上運送法等の一部を改正する法律」による船舶職員及び小型船舶操縦者法の改正に伴い、令和6年4月より、小型旅客船・遊漁船の船長に必要な「特定操縦免許」の制度が改正されました。
新たに小型船舶の遊覧船や遊漁船の船長(営業目的で旅客を輸送)になる方は小型船舶操縦免許(特殊小型を除く)に加えて「特定操縦免許」を取得しなければなりません。
自動車運転免許の二種免許(タクシーや路線バスの運転免許)のようなものです。

※平成15年6月以前に小型船舶操縦免許を取得した方は「(旧)特定操縦免許」を取得しているものとみなされ、平成15年6月以降に取得された方は小型旅客安全講習の受講により「(旧)特定操縦免許」を取得していましたが、いずれの資格も令和8年3月31日までに特定操縦免許講習を受講して試験に合格して現行の特定操縦免許に移行しないと資格が喪失します。(遊覧船や遊漁船の船長ができなくなります)
特に旧特定操縦免許有資格者の移行講習は令和8年3月31日に終了しますのでご注意ください。その後は救命講習を除いた新規取得と同じ講習/審査になります。(乗船履歴による実技免除が無くなります)

遊覧船とは

遊覧船、クルーズ船、海上タクシー、観光船、屋形船、花火見物、パーティー船、花見観光、運河めぐり、通船業務(交通船)、海上散骨等が該当します。

海上運送法第二条第二項に規定する船舶運航事業の用に供する船舶(物のみの運送の用に供する船舶を除く。)

遊漁船とは

乗客を漁場に案内し、釣りなどの方法で水産動植物を採捕させる事業を行うための船舶です。船釣り、かせ釣り、磯渡し、瀬渡し、筏渡し、フィッシングチャーターボート、フィッシングガイドなどのほか、定置網等の観光漁業、体験漁業などが遊漁船業に該当します。

遊漁船業の適正化に関する法律第二条第二項に規定する遊漁船

新規取得講習(救命講習+学科講習+実技講習+審査)116,100円(税込)
移行講習(学科講習+実技講習+審査)101,800円(税込)
※移行講習(学科講習+審査)24,800円(税込)
※必ず3カ月乗船履歴証明を提出してください。

新規に取得する方

平成15年6月以降に免許を取得された方や新たに免許を取得して小型旅客船や遊漁船の船長になられる方は「救命に関する科目(7時間)」と船長の心得(学科4時間)と小型船舶の取扱い、操縦(実技4時間)の15時間以上(2日ないし3日間)の講習を受講して修了試験に合格して修了証明書が交付されます。
その修了証明書をもって手続きすると「履歴限定りれきげんてい」された特定操縦免許(特定限)が発行されます。履歴限定免許(特定限)は平水区域(大阪湾、伊勢湾、東京湾、瀬戸内海の一部、琵琶湖、河川等)のみで遊覧船や遊漁船の船長ができます。外洋の沿海区域を遊覧船や遊漁船の船長として航行するには一定の乗船履歴じょうせんりれきを積んで限定を解除(特定全)しなければなりません。

※沿海区域(限定沿海を含む)以遠を航行する総トン数200トン未満の船舶において1年以上航海士、甲板部員として乗り組んだ履歴。遊覧船や遊漁船での船員や中乗りさんとして1年以上の経験を積み、その証明書を添付して手続きすると限定が解除されます。

新規取得講習

 2日間または3日間
1.お申し込み→2.救命講習(学科/実技)→3.小型講習(学科/実技)+学科/実技審査

旧特定操縦免許をお持ちの方

すでに免許証に「特定」の表記がある方は令和8年3月31日までは小型旅客船や遊漁船の船長ができますが、それ以降も船長を続けられる方は令和8年3月31日までに移行講習を受講して免許証を書き換えてください。船長の心得(学科4時間)と小型船舶の取扱い、※1操縦(実技4時間)の8時間以上(1日ないし2日間)の移行講習を受講して修了試験に合格して修了証明書が交付されます。
その修了証明書をもって手続きすると「履歴限定」された特定操縦免許(特定限)が発行されます。履歴限定免許は平水区域(大阪湾、瀬戸内海の一部、琵琶湖、河川等)のみで小型旅客船や遊漁船の船長ができます。
外洋の沿海区域を小型旅客船や遊漁船の船長として航行するには※21年以上の履歴の証明書を提出するか、一定の乗船履歴を積んで限定を解除(特定全)しなければなりません。

※1.すでに小型旅客船や遊漁船の船長業務を行っている方は所定の書式に遊覧船または遊漁船としての3カ月以上の乗船履歴を記入して証明書類を添えて提出すると実技講習/審査は免除されます。
※2. 1年以上の沿海(限定沿海を含む)での乗船履歴(遊覧船や遊漁船の船長でなくてもかまいません。自己所有の船舶でも第三者の証明があれば有効です)をお持ちの方は所定の書式の乗船履歴を提出して免許申請をすると限定が解除された特定操縦免許が交付されます。

移行講習

 1日間または2日間
1.お申し込み→2.小型講習(学科/実技)+学科/実技審査
※所定の乗船履歴と証明書類を提出すると学科講習と審査のみ(半日)

※特定操縦免許講習は一般社団法人全国小型船舶教習所連合会が実施します。

受講科目と免除科目

1,2級免許の有資格者で旧特定操縦免許をお持ちでない方は「救命科目(7時間)」と「学科(4時間)」「実技(4時間)」を受講して審査を受けますので最低2日間が必要です。旧特定操縦免許有資格者の方は「学科(4時間)」「実技(4時間)」を受講して審査を受けますので最低1日、遊漁船や遊覧船に乗務した3カ月以上の乗船履歴証明書を提出した方は「学科(4時間)」と審査になりますが、これを「移行講習」と言い、令和8年3月31日で終了します。それ以降は旧特定操縦免許有資格者すべて「学科(4時間)」「実技(4時間)」「学科/実技審査」になります。
※旧特定操縦免許有資格者は令和8年4月1日以降でも「救命科目」講習は免除されます。

特定操縦免許講習※3救命講習(7時間)学科講習(4時間)実技講習(4時間)
新規取得
旧特定有資格者(乗船履歴なし)免除
※1旧特定有資格者(乗船履歴あり)免除※2免除
※1遊漁船/遊覧船の3カ月以上の乗船履歴証明書を提出 ※2実技免除は令和8年3月31日まで
※3海技士(海技免状)をお持ちの方は救命講習は免除されます。

よくあるご質問

1級、2級小型操縦士免許は決められた水域を決められた大きさの小型船舶を操縦する免許ですが、特定操縦免許は客船(遊覧船や遊漁船や交通艇等)に乗客を乗せて航行する免許です。自動車運転免許に例えるとタクシーやバスを運転する免許のようなものです。単に荷物を運ぶ場合は特定操縦免許は必要ありません。

1級や2級または特殊小型の免許が無くなるわけではありません。特に平成15年6月以前に取得した方は自動的に「特定」の資格が付与されていますが、令和8年3月31日までに移行しなくても「特定操縦免許」が喪失するだけで小型船舶操縦免許が喪失するわけではありません。また経過期間中に切り替えをしなくても免許証には以前に「特定」があったことを示す赤枠が表示されるので移行期間後に特定操縦免許を取得する場合は7時間の「救命講習」が免除されます。
移行期間(令和8年3月31日)を過ぎると経過処置である移行講習は無くなります。遊覧船や遊漁船の船長としての3カ月の乗船履歴の提出による特定操縦免許講習の実技講習/審査の免除措置は無くなりますのでご注意ください。

乗船履歴とは、船員として実務に携わった経験期間のことです。船員とは船に乗って働く人のことですが職員(有資格者)と部員(無資格者)は問いません。大型船の乗組員等の船員手帳の受有者は証明しやすいのですが、特定操縦免許の乗船履歴は200トン未満船(例えると遠洋のマグロ漁船程度)の乗船履歴ですので船員手帳がない場合は、業務日誌やマリーナの管理記録等で証明することになります。ご自分のプレジャーボートでも自己証明用として可能です。
移行講習の実技免除用に提出する①3カ月乗船履歴と②履歴限定解除のための1年の乗船履歴があります。
※①の移行講習の実技講習/審査の免除する場合の3カ月乗船履歴は「小型旅客船」「遊漁船」のみですのでご注意ください。

特殊小型操縦免許は旅客船や遊漁船を想定した免許ではありませんので特定操縦免許は取得できません。1級、2級(湖川小出力限定を含む)小型船舶操縦免許になります。

「海上運送法」上の小型旅客船の船長、船員としての乗船履歴になります。従って「実技免除」にはなりません。またお客様と釣りをする場合も「遊漁船業」として登録してある場合のみです。
※3カ月以上の乗船履歴とともに遊覧船の場合は「労働契約書」等、遊漁船の場合は業務規程の「別表1」にご本人のお名前が記載されているもので証明します。
海上運送法第二条第二項に規定する船舶運航事業の用に供する船舶(物のみの運送の用に供する船舶を除く。)

取得できません。琵琶湖や大阪湾等の平水区域での乗船履歴ではなく、沿海区域での乗船履歴(総トン数200トン未満船)が必要です。
※移行講習の実技免除は平水区域での3カ月以上の乗船履歴でも適用されます。

必要ありません。遊漁船とは船舶により利用客を漁場に案内し、釣りなどの方法で、利用客に水産動植物を採捕させる事業です。釣船(船宿)、磯・瀬渡し、潮干狩り渡し、いかだ渡し、カセ釣り、チャーターボート、観光定置網、指定された湖沼でのバス・フィッシング・ガイド等がこれにあたります。
 自ら水産動植物を採捕する漁業でも必要ありません。
遊漁船業の適正化に関する法律第二条第二項に規定する遊漁船

いいえ。特定操縦免許の国家試験はありません。講習を受講して、同じ会場で審査を受けます。合格したら修了証書が発行されます。

国家試験受験や登録教習と違って「身体検査」や「身体検査証明書」の提出がありませんので必ず有効期限内の免許証のコピーを提出してください。

免許証を運輸局で書き換えます。ご自身で行っても結構ですし、当教室では書き換え/送付までのサービスを行っております。移行講習の方は令和8年3月31日までに免許証の書き換えを行わないと無効になりますのでご注意ください。
※合格した後の書き換えは履歴限定(特定限)になり平水区のみしか業務を行えません。沿海区域で営業を行う場合は1年以上の乗船履歴を添付して申請します。(特定全)

当教習所が所属している団体です。この団体の主催で会員の各教習所が小型船舶操縦免許の国家試験免除の登録教習(中部小安協第7号)や特定操縦免許の講習(近特講第2号)が実施できます。

国土交通省のQ&A

免許取得までの流れ

STEP

お申込み・・・各ページから送信してください。また必要な方は申込書等をこちらから郵送します。

STEP

お支払い・・・お申し込み時に選んだお支払い方法で期限までにお支払いください。銀行振込、クレジットカード決済、QRコード決済がお選びになれます。確認後にこちらから教材をお送りします。

STEP

必要書類提出・・・講習日に①証明写真2枚②※1有効期限内の操縦免許証のコピー(記載事項に変更がある場合は変更事項が記された住民票の写し)③移行講習で実技免除を希望する方は所定の※23カ月乗船履歴証明書と業務実態が証明できる書類④免許申請委任状⑤返納確約書をお持ちください。
※1失効している場合はあらかじめ失効再交付を受講して有効な免許証にしてください。
※2当日不備があると実技免除になりません。あらかじめ確認用にデータで送信することをお勧めします。
④⑤は教材に同梱しています。

STEP

講習/審査・・・お選びになった会場で受講/審査します。

STEP

免許証交付・・・受講後1週間程度で免許証が出来上がりますが、「返納確約書(旧免許証を返納せずに新しい免許証を発行するための書類)」で新免許証を発行した場合は原則的に※1旧免許証との引き換えになります。
※1業務により毎日乗船して旧免許証の返納が困難な場合はご相談ください。

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