国家試験受験と国家試験免除
小型船舶の免許を取得するのに上記の二通りの方法があるのはご存知だと思います。当教室では双方を選択可能にしていますが、圧倒的に国家試験受験で取得される方が多いです。理由としては費用の安さと国家試験受験でも十分高い確率で合格するからです。国家試験受験対応のボートスクール(一般教習所)と国家試験免除の登録教習所は端的に言うと前者が「私塾」、後者が「学校」のようなものです。
ボートスクールのほうは水面使用許可や自己操縦免除確認(水上バイクは無資格者は操縦できないし、港則法が適用されるエリアではボートも無資格者操縦はできない。それでは教習そのものができないので、それを一定の条件下で免除してもらうこと。)という最低限のしばりはありますが、ボートスクールの経営は学習塾と同じく許認可や登録はいらないし、塾の先生のように公的な資格もありません。(それに代わって試験機関の認定インストラクター制度や業界団体のインストラクター研修があります。)
いっぽう後者は一定の基準をクリアしたものが国土交通省に教習所として登録し、教員も試験機関が実施する研修を受けたのち、教員試験に合格しなければなりません。
授業内容も前者は「私塾」ですから「できのいいい」生徒は授業時間は短くなる(学科の自習も可能)。後者は「学校」ですから個人の能力にかかわらず一定時間の教習が必要(2級学科なら12時間)。どうしても後者のほうがコストがかかるので費用が高めになるのはいたしかたありません。
ダブルスタンダード
10年ほど前までは「国家試験免除」ができるのは「指定」された海技学校のようなところだけだったのですが、小泉政権の規制緩和の流れで、誰でも一定の要件が揃えば「登録」できるようになりました。今では水産高校も含めて、全国に数十校の登録教習所があります。
それまでは4級や5級は簡単なので「受験」で取得。1級は難しいので「学校で習って」取得。が一般的で、免許スクールと海技学校が棲み分けをしていたのですが、規制緩和で両者が同じ土俵に登ってしまったので、今でも多少の混乱は残っています。
今では国家試験免除の学科・実技審査内容が国家試験と全く同じ(学科試験問題も試験機関が提供するものを使用しなければならない)になったので、登録教習所は規定の時間をかけて国家試験(と同じ内容)に合格する授業をするという「塾」みたいな授業内容になってしまっています・・
でも皆さんは免許が取得できればいいので、どちらでもいいことでしょうが。
「飛び込み」受験
自動車運転免許も教習所に通わないで、試験だけで取得することは可能です。しかし初心者が普通免許を取得する場合は教習所に通って取得するのが一般的です。いわゆる「飛び込み」で一発で合格するのは自動車の場合は難しく、小型船舶の場合は自動車と比べると容易です。これは公開されている情報量の違いです。ネットで検索すれば小型船舶免許の試験問題や実技系のビデオはすぐに見つかります。
ボートを持っている友人に練習させてもらえば、勘がいい人なら実技は合格できるかもしれません。(操縦技術だけを採点しているわけではありませんが・・)
これ以上はやめておきます。
どれを選ぶ?
うちは受験コース・免除コースも両方をやっていますが、もちろん前者のみ、後者のみの教室もたくさんあります。それぞれがそれぞれの利点を強調して宣伝しているわけです。
前述のとおり、国家試験受験のほうが早く・安く取得できるので当教室でもほとんどの生徒が国家試験受験コースで免許を取得していますが、国家試験免除にも利点があります。
- 教習から審査まで完全にプライベート。国家試験のように不特定多数の中で試験を受ける必要がありません。先生も最後まで顔見知り。(ただし、実技講習を受けた同一の先生から実技審査は受けられません。)費用は割高になりますが、ご希望ならマンツーマンですべて終了させることもできます。
- 国家試験は合格発表まで一定の期間(4日から1週間程度)があり、万が一不合格で再受験する場合も試験申請が試験日の1週間前が締め切りなので、「不合格」になるとリトライに少し時間がかかります。国家試験免除の再審査は、補習後、その日に再審査が可能です。(同じ日に何度も再試験を行うのは時間的に無理ですが・・)
- 国家試験は少人数の希望で任意の日に実施することはできませんが、国家試験免除の場合はこちらが計画した日程以外でも3週間程度前なら追加設定できます。特に平日はねらい目です。最近は国家試験も需要の問題で土日の試験が多く、閑散期(11月~3月)の地方では平日に試験がないところもあるようです。先日の生徒さんはその理由で、遠方から来られてました。
- 大津びわこ教室限定ですが、マリーナ内に宿泊設備があるので、多少遠方の方でも合宿形式で取得できます。2級の場合、マンツーマン教習なら一泊二日、お二人なら二泊三日です。
※1級の場合は1名でも4日間が必要なので、4日連続でも2日間ずつ2週に分けて行うことも可能です。
最後に国家試験免除は「金さえ払えば免許をくれる」は都市伝説ですので。くれぐれも。